復活! なにわの伝統野菜
時代と共に失われてしまった伝統野菜
「天下の台所」と呼ばれた元気な大阪の復活を目指して、
伝統野菜に挑む若者がいます。
茶髪にピアスの26歳、河端訓史さんは、農業を始めて4年目になります。
たくさんの食材が集まる大阪の黒門市場。
そこで八百屋さんを営む安井友英さんは言います。
「京都に京野菜があるみたいに、大阪にも昔から
伝統的に大阪野菜があるのですが、ほどんど消滅しかかってて」
そんな中で、時代と共に失われてしまった伝統野菜を
復活させようという人たちもいます。
次の世代に残していかなければいけないと思って
大阪市内から車で1時間の河内長野市。
河端さんの家は、古くは農家を営んでいましたが、サラリーマンだったお父さんは
「農家じゃ食べていかれへんて」農業を始めることに反対しました。
それでも4年前たった一人で荒れていた土地を耕し始めました。
「大阪にしかないもんやし、揃った味も形もしていない。それがやってて面白い。
やっぱり次の世代に残していかなければいけないと思って始めました」
形も大きさも不揃いな伝統野菜は、個性豊かでやりがいがあると感じました。
「田辺大根は、身がしっかりしてるので、炊いたりしたときに煮崩れしにくいんです。
大根はシャキシャキしてるけど、これはパリパリしている食感で、
それが好きって人はたまらんと思います」
お母さんとおばあちゃんの知恵で形の悪い野菜を漬物に
同じ大きさや形になるよう品種改良された今の野菜と違い、
なにわの伝統野菜は形も大きさも不揃いになりがちな野生の品種です。
最初は売り物にならないような形の悪い野菜しかできませんでした。
それを見ていたお母さんが、それを漬物にして売ることを、
教えてくれました。
形は悪いけど味は良い、息子の育てた伝統野菜を漬物にしているうちに
心配していたお母さんも、反対していたおばあちゃんも、
河端さんの思いがわかるようになっていきました。
おばあちゃんが生まれる前から使っていたという漬物石で作ったのは
天王寺蕪の切り漬けでした。
失われたものを蘇らせたいという願いを理解してくれた彼女
河端さんは、ひいじいちゃんが畑に行く姿が焼きついているといいます。
それが故郷の風景。
家の前で農地が荒れているのが気になって「なんとかせなと思って」いた河端さん。
目指しているものが未来だと教えてくれたのは彼女の存在でもありました。
「彼女がいなかったら僕多分農業やってないです」
失われてしまったものを自分の手で蘇らせたい、そう願う彼の話を
彼女だけが聞いてくれたのです。
同じ未来を夢見ていますが、二人は結婚を反対されています。
「農業じゃ幸せになれへん」
そんなふうに考える人がまだ少なくありませんが、
時間をかけて理解してもらおうとしています。
伝統野菜作りを応援してくれる人たち
その一方で、応援してくれる人たちもたくさんいます。
黒門市場にお店を構える漬物屋さんの伊勢屋商店。
漬込歴50年の漬込職人、野呂昌利さんが大根を洗います。
どうやったらなじみのない伝統野菜をおいしく食べらてもらえるか、
研究に余念がありません。
大根に縦に包丁を入れて、均等に切り込みを入れていく様子はまさに職人技。
「ええのあったらまた持ってきて」
おいしそうな割漬大根が出来上がりました。
大阪の食文化の未来と希を担って
数少ないなにわ伝統野菜の作り手の中で、とびきり若い河端さんは
大阪の食文化の未来そのものでもあり、希望でもあります。
伝統野菜の作り手がほとんどいなくなり高齢者ばかりという現在、
河端さんに頑張ってほしい、河端さんにかかっていると、市場の仲間は期待しています。
天下の台所を復活させるのは、これまで代々受け継がれてきたものを
残し続けようとする、若者の強い信念なのかもしれません。
プロフィール
河端訓史●1982年12月25日。大阪府出身。
古くは農家を営む家に生まれ育つが、野菜作りをやめ荒れていく畑を見て
どうにかしなければという思いから、2006年2月に就農。
個性を生かした野菜作りをしたいと、栽培も難しく、
現在ではほとんど栽培されなくなったなにわ伝統野菜を作り始める。
川端さんの野菜はこちらで買えます。
伊勢屋商店●大阪府大阪市中央区日本橋2-3-4
葉菜の森●大阪府和泉市大野町973-3
【かわばたファーム】
安全・安心、大阪エコ農産物直売
トマト、きゅうり、水茄子、たまねぎ他
なにわの伝統野菜生産・販売
毛馬胡瓜、天王寺蕪、田辺大根他
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